こんにちは、大場麻以です。
「ビジネスで成功するためには、モデリングが大事」
「起業初心者はまずは手本のマネから」
こうした話は聞いたことがある人も多いと思います。
しかし実際に成功するためのモデリングはどのようなものか?
心理学的なベースは存在するものの、座学的な考え方から現場での実践の方法まで、解釈が多く分かれています。
また、特に教育現場、スポーツ現場でもモデリングについては具体例があっても「ビジネスにおけるモデリング」がどのようなものかは、あまり語られていません。
そして「モデリングの本質」がどのようなものかも、あまり知らない人が多いと思います。
私は自分で言うのもなんですが、モデリングが非常に得意です。
ビジネス初期は特に、徹底したモデリングによってモデリング開始から1ヶ月で売上を10倍にしました。
モデリングはとてもパワフルですが、世間一般のモデリング、モデリングの本質、そしてモデリングの注意点について理解しておくことが大切です。
この記事では、ビジネスで成功するためのモデリングについて深掘りしていきます。
心理学における社会的学習理論(モデリング理論)
ビジネスで成功するためのモデリングとは、心理学においては「社会的学習理論(モデリング理論)」と呼ばれるものが元となっています。
この理論は、アルバート・バンデューラ氏による「自分が直接体験した事柄ではなくても、他者の体験を観察・模倣すること(=モデリング)で学習できる」と説いた理論です。
学習プロセスは以下の通りです。
- 観察対象に注意を向ける(注意)
- 対象の行動の内容を記憶する(保持)
- 対象の行動を模倣してみる(運動再生)
- 対象の行動に対するモチベーションが高まる(強化と動機付け)
理論を要約すると、「相手をよく見て、相手の立場に立ち、見様見マネで行動しよう」です。
たとえば10人のビジネスグループがある場合、1人がビジネスのあることで成果を出すとします。
他の9人はその人をよく観察し、その人の立場に立ち、見様見真似で行動することで、最初の1人と同じように成果が出せるわけです。
逆に1人があることで悩んでいると、他9人はそれをよく観察し、その人の立場に立ち、あえて同じ行動をしないことによって、9人がその人と同じ失敗をすることを防ぐことができます。
このように「実際に経験しなくても、学習することができる」、低リスクで高効率な学びを実現するのが、心理学的なモデリング理論です。
(ここで言う「学習」というのは「特定の結果のために、何をすべきかを理解する」という意味合いが強いですね)
しかしこれでは一般的な「ビジネスで成功したければ、成功者を模倣せよ」という話と大差ないように感じるかもしれません。
ビジネスにおけるモデリングというのは、何をどう模倣するのか、具体的な方向性を理解することが大切です。
ビジネスで成功するためのモデリング
ビジネスで成功するためのモデリングとはどのようなものか?
それは「成功者の思考と感覚のすべてを写し取る」ということです。
それは自分の思考と感覚を沈黙させ、成功者の思考と感覚で上書きするということでもあります。
そんなことをして「その人らしさ」は死なないのか、と思う人もいると思いますが、たとえば当時徹底的にモデリングを行った私も、今の私は「ただ一人の私」です。
なので、モデリングしたからと言って没個性になるわけではありません。
とはいえ、注意すべきこと、理解しておくべきことはあります。
注意点についてはまた後述します。
モデリングの本質を知る
モデリングというのは、本質的にはエネルギーのコピーであり、相手のエネルギーを着るということでもあります。
「相手を自分に憑依させる」という表現もあります。
それも意味としては近いのですが、本当の意味で憑依させると、相手からエネルギーを奪い取ることになります。
それは相手の気力を奪うことであり、あなた自身がカルマを増やすだけなので、意図的にやるのはNGです。
そのため、あくまで「相手のエネルギーを理解し、それを着るように模倣して自分に馴染ませる。あくまで自分という主体は変わらずそこにある」、これが成功するためのモデリングであり、私が実際にやってきたことです。
あとは役者が「役を下ろす」と言ったり、役者の特徴のひとつに「憑依型の役者」というものもありますね。
これも突き詰めると役と自分、他人と自分の境目がなくなるという危険性をはらんでいるのですが、それは「自分という主体も消してしまう、完全になりきってしまう」からこその危険性です。
自分を消さず、しかし自分を沈黙させ、相手のエネルギーを写して着る。
成功するため、結果を出すためのモデリングというのはかなり繊細なものなのです。
成功者の思考と感覚のすべてを写し取るとは?
では実際にどのようにしたら良いのか、説明します。
まずエネルギーというのは、思考や感情、感覚、体調など、その人を形成しその人を取り巻く情報、そしてその情報が起点となりその人が発する振動を指します。
そのためエネルギーを写し取るというのは、相手の思考と感覚……つまり相手のエネルギーがどのようなものかを理解するところから始まります。
- Aが起こった場合、どんな感情になり、どう考え、どう行動するか
- どんな食事を好み、どんな趣味を持ち、人生における優先順位はどうなっているか
- Bと言われたら何と返すか
- 何に笑い、何に怒り、何に悲しむか
- 何を愛し、何を厭うか
- 1日の生活をどのように過ごしているいるか
- 仕事と休みのバランスはどうなっているか
- 休みの日は何をしているか
- 今この瞬間、どのような感情で過ごしているか
- どのような本が好きか、映画が好きか、場所が好きか
挙げ始めるとキリがないですか、こうした「その人を構成するすべて」を、可能な限り、まずは知ります。
知ることができない項目については、すでに知っている情報を元に相手の立場に立って、「自分がその人だったらどうか」というイメージで補完します。
そして、この構成するすべてを、まるで自分がその人本人であるかのように、実行するのです。
最後は観察結果=獲得した情報をもって行動する、という点では心理学的なモデリングと同じであると言えるでしょう。
心理学的なモデリングとの違いがあるとすれば、モデリング対象となる相手の「存在」に対する解像度の高さ、繊細さであると言えます。
(ちなみに私の場合は、本当の意味で「エネルギーを着る」ということを少し霊的というか、エネルギーワーク的な形でやっています。ただ人によって向き不向きがあり、不向きの場合はリスクのほうが大きいので教えてはいません)
モデリングする上での注意点
ただ、モデリングする上では注意点があります。
- 自分の声を沈黙させるが、自分という主体は消さない
- 他責、依存的、自己信頼が低い場合はモデリング自体をしないほうがいい
ビジネスで成功するためのモデリングというのは、構図としてどうしても「できない人が、できる人を真似る」という意味合いが強いです。
しかし一方で、モデリングが機能するのは自己信頼が強固であり、芯が強い人……俗に言えば「鋼メンタル人向き」のものなのです。
たとえば人の思考と感覚を模倣するとき、自分の声の主張が強いと、モデリングは不可能ですよね。
しかし、他人を模倣するとき、なぜ自分の声の主張が強くなるとしたら、それはなぜか。
なぜ内なる抵抗や反発が生まれるのか?
それは他人の要素を取り入れることで、自分が消えてしまうという恐れや不安があるからです。
文字通り「芯が強い」場合、他者を模倣しようと、自分の感覚をオフにしようと、自分という存在は揺るがず確固としてそこに在るという信頼があります。
その信頼があるからこそ、自分の思考と感覚を理解しつつも、あえてそれをオフにして、モデル先の思考と感覚を全力で採用するということができるのです。
例を挙げるなら
「自分は休日こそ猛烈にビジネスに没頭するのが好きだ。しかし成功者はやる気が起きるまで何もせずのんびりすると言う。だったら何もせずのんびりしよう」
「自分は泣ける小説やサスペンスものの物語が好きだ。しかし成功者は感情が揺れることがないらしい。どういうことか分からないけど、作り手視点で俯瞰的に物語の設計を見てみよう」
このように自分とは真逆の思考や感覚でも、自分に対する信頼があれば、気負わず再現にチャレンジすることができるのです。
もし、自分への信頼が低かったり、他責傾向、依存傾向だとどうなるか。
その場合、着てみたエネルギーが反発ですぐ剥がれてしまうか、モデリングが中途半端になります。つまり結果も出ないし、上手くもいきません。
そしてもっとも避けるべき最悪のケースは、無理にモデリングを頑張り、それが上手くいってしまい、主体の自分が消え、自分が何者か分からなくなる、という事態です。
モデリングはあくまで選択肢のひとつ
モデリングというのは、まるで魔法の手法のように語られやすい成功法のひとつです。
ビジネスにまつわる心理学やマインドの教えの場では、必ずと言っていいほど出てくる話題です。
しかし、ここまでお伝えしたようにモデリングには向き不向きがあり、ビジネス成功のための手段のひとつに過ぎません。
もちろん、ハマれば即効性はあります。パワフルな手法には違いありません。まるで別人に変異したかのように、別人みたいな結果を出せます。
しかし初歩的な人、自分の本質の探究が浅い人……つまり本当はモデリングという手法を控えるべき人が、モデリングという「手っ取り早さ」「魔法っぽさ」に惹かれてしまう。
難儀な話ですが、こればかりは自分で気が付くしかありません。
あなたはどうでしょうか?
「他人のエネルギーを着ても損なわれない自分への信頼」
「オフにしても変わらない本質への自覚」
この2つがあるなら、ビジネスの成功のためのモデリングは、最高のアプローチのひとつです。
しかしそうでない場合、他人のエネルギーを着る前に、まずは自分の本質を強くしなやかに純度を上げることのほうが何よりも先に必要です。
私の場合はモデリングで成功してから、路線を切り替えて本質に一致していく道を追求し、ここまでやってきました。
しかし今後、まったく新しい何かに取り組むとしても、モデリングや他者のエネルギーを着るという手法は、もう採用しないと思います。
なぜなら、もう誰を真似せずとも「自分」に従うことが、最高の未来を創り出すと知っているからです。
これが「自分の本質に一致する」という在り方を選んだ結果です。
モデリングも魅力的な手法ではありますが、あなたはあなたの人生の本当の幸福に必要なプロセス・手段を選んでくださいね。