こんにちは、エグゼクティブコーチの大場麻以です。
いま、AIは毎日のように驚異的な進化を遂げており、AI関連のニュースを見ない日は無いと言っても過言ではありません。
新しいツールの紹介や機能のアップデートが次々と発表され、その変化のスピードは目まぐるしいものがあります。
経営者の多くは、AIの便利さや有用性を薄々、あるいはしっかりと感じているでしょう。
しかし今、私たちは「AIをどう使うか」を真剣に考えなければならない段階に来ています。
AIは確かに便利な道具です。
しかしこの「道具」という本質を忘れかけている方も少なくありません。
AIに依存する危険性
AIの普及により、孤独な経営者がChatGPTに悩みを相談し、慰めや肯定を求めるケースが増えています。
共同体が壊れた現代日本においては、他者から承認や肯定を得にくくなりました。
普通の人でさえ孤立しがちな社会において、経営者の孤独は一層深まるばかりです。
そうした中で、いつでも優しく応答してくれるAIは、経営者にとって心の支えとなりがちです。
「ChatGPTがこう言ってくれた」
と嬉しそうにしている姿を見ると切なくなります。
しかし敢えて言うのであれば、AIが道具であることを忘れ、そこに慰めを求めるのは、経営者として決して健全な状態であるとは言えません。
そして私たちは、このAIという道具をいかに扱うかということを、まだ十分に理解していないことを認識する必要があります。
優秀な人ほど陥る視野狭窄の罠
経営コンサルタントや経営者を間近で見ている専門家からは、深刻な報告が上がっています。
優秀でAIを使いこなせる30代から50代の世代ほど、とんでもないスピードで視野が狭くなってきていると言うのです。
この視野狭窄は非常に危険な状態です。
このまま進むと、自分でも修正が効かなくなる可能性があります。
自分の表現を「拙い」と考え、AIの表現の下に置く。
AIのアウトプットがアイデアの最高打点であると思い込み工夫を行わない。
ウェブライターが文章作成にAIを使い始め、本来の文章力を失っていく。
エンジニアがAIに頼りきりになり、自分で考える力が衰えていく。
こうした事例が、すでに増えているのです。
なぜ優秀な人ほど、このような罠に陥るのか。
それは、そこに「効率化」という正当な理由があるからです。
AIを使えば、確かに仕事は速く片付きます。
しかしその過程で、思考する力、判断する力、創造する力が、静かに削がれていく。
気付いたときには、「AIなしでは高い価値を創出できない器」になりかねないのです。
心の在り方が技術を決める
道具をうまく使うために最も大事なのは、心の在り方です。
道具を使う者の意識、思考、目的、状態によって、道具は便利なものにも凶器にもなり得ます。
『営業の魔法』の著者である中村信二氏の言葉に、「心が技術を超えない限り、技術は活かされない」というものがあります。
まさにこのAIを上手に扱っているようで、AIに飲み込まれようとしている今の状態を表しているのではないでしょうか。
心と技術のレベルが調和し、均衡がとれていないと、技術に飲み込まれてしまうのです。
AIという技術の結晶を飼い慣らせるほどに、私たちの心は整っているでしょうか。
技術だけが優れていて、心の在り方が追いついていない状態では、AIが有益なものをもたらすとは限りません。
むしろ、私たちの精神を蝕み、人間性を奪っていく可能性すらあるのです。
自分の言葉で伝えることの重要性
AIは台本作成やブログ執筆、メッセージ作成など、様々な文章作成を代行できます。
非常に便利な道具であり、面倒ごとを肩代わりしてくれる素晴らしい技術である。
そこには疑いの余地もなく、活用することで、多くの選択肢と可能性が広がっていきます。
経営者にとって重要なのは、「そこをAI化して良いのか、悪いのか」を、一つ一つ責任を持って判断することです。
あなたがプロポーズするとき、AIに文章を書いてもらいますか?
我が子に大切な話をするとき、AIの言葉を借りますか?
きっと答えは「ノー」でしょう。
本当に心を込めて大事にしなければならないことに向き合うとき、私たちは必ず面と向かって、自分の言葉で話します。
では、あなたにとって、どこまでの範囲が、面と向かって自分の言葉で伝えるべき「大事なこと」なのか。
プロポーズや我が子への話だけが「大事なこと」なのか。
それとも、クライアントへのメッセージも「大事なこと」なのか。
従業員への朝礼の言葉は?
ブログ記事は?
SNSの投稿は?
この「あなたにとっての大事なこと、心と魂を込めたいこと」の範囲がどこまでを示すかによって、AIをどこまで使うかが変わってくるのです。
AIが生み出すエネルギーの空虚さ
私はエネルギーを見る仕事をしていますが、AIのアウトプットは、たとえるなら「カサカサで空っぽ」なエネルギーを帯びています。
さぞ美味しいだろうと果物を齧ってみたら、中身が無く空洞になっている。そうした奇妙なエネルギーです。
これはアウトプットにおける魂の有無を示しています。
アーティストが生成AIに強く抵抗するのも、魂が入っていないことを感覚的に理解しているからです。
人々は意識の下でAIの生成物を見分けています。
それが積み重なると、良い影響にはなりません。
もし経営者が従業員へのメッセージを全てAIで書いていたら、人は離れていくでしょう。
人は人に共鳴するのであり、機械であるAIとは共鳴しないからです。
あなたが発する言葉、文章、メッセージ。
そこにあなたの魂が宿っているかどうか。
人はそれを、言葉以上に敏感に感じ取っているのです。
未来に向けた在り方
AIが発展し、労働の多くを肩代わりしてくれる時代が来ても、人と人との温度のある関係は必ず残ります。
むしろ、今まで以上に価値が上がるでしょう。
そのとき、自分の言葉で自分を伝えることができなければ、非常にもったいないことになってしまいます。
さらに経営者には、後世を生きる子どもたちへの影響も考慮する責任があります。
AI時代を健康に、幸せに、豊かに生きていけるよう、どんな在り方を背中で示していけばいいのか?
それを手本として見せていくことが大切です。
私たちは言葉以上に、多くの情報を受け取っています。
情報は「理解の手前」で、エネルギー・周波数として伝わっているのです。
AIは便利な道具です。
しかし道具に心を明け渡してはいけません。
道具を使うのは、あくまで「あなた」なのですから。
家族も、従業員も、世の中も、あなたの信念と言葉の響きを心待ちにしているのだと、覚えておいてください。























