こんにちは、エグゼクティブコーチの大場麻以です。
「直感で決めた」
「フィーリングで決めた」
「なんとなくこちらがいいと思った」
経営者や起業家の間で、こうした言葉をよく聞きます。
あなた自身も経験はあるのではないでしょうか。
直感で採用した社員が大活躍した。
直感で進めたプロジェクトが予想外の大ヒットになった。
直感で断った案件が、後から見て正解だった。
反面、思慮に思慮を重ねて進めたものに限って、大した結果にならない。
どうかすると、頑張れば頑張るほど、鳴かず飛ばずの失敗に終わってしまう。
こうした話を聞いて、「やっぱり直感が大事だ」と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、「直感」という言葉には、実は二つの意味が混在しています。
「直感」と「直観」
この二つの違いを理解していることが、直感をただの「ラッキー」「幸運」で終わらせず、再現性のある判断方法として利用できるかどうかに深く関わっています。
「直感」と「直観」二つの違いとは?
直感と直観。
漢字が違えば意味も違います。
直感とは、感覚に基づく瞬時の判断です。
「なんとなく感じた」
「胸騒ぎがある」
「気になる」
こうした感覚に基づいて、理由を言語化できないまま判断する。
これが直感です。
「肌感覚」という言葉があるように、物事の異変を肌で捉えるケースもありますが、
それもまた直感のひとつです。
一方、直観とは、深い内側から湧き出る洞察や認識、理解です。
言葉にならなくても、その中に確信がある。
理由を説明する必要がなくても、その判断の正確性が高い。
こうした、魂の深い部分から生まれる認識。
それが直観です。
では、この二つの違いは具体的にどのようなものなのでしょうか?
簡単に言えば、直感は「反射」「感覚」であり、直観は「洞察」「理解」です。
たとえば、ある経営者が新規事業の提案を受けたとき、「なんとなく嫌な感じがする」と感じたとしますね。
これは「直感」です。
しかし別の経営者が同じ提案を受け、「この事業には今後の市場の動きと自社のポジションから見て、根本的な問題がある」と、“感じ”ではなく“深い認識”として捉えたとします。
これが直観です。
直感では「Why」の理解には至りません。
しかし直観には、第三者が理解できるかどうかは別としても、本人の中には明確な「Why」の答えがあるのです。
そして二つの共通点は、どちらも論理を飛躍するということです。
直感だけでは経営者として危険な理由
直感は非常に便利です。
素早い判断ができ、時には天才的な選択と結果をもたらすこともあります。
しかし直観に至らず、直感にだけ頼る経営者には、いくつかの危険があります。
まず、直感はエゴの影響を受けやすいのです。
「やっていけそう」という期待や興奮。
「これは自分らしい」という自己イメージの維持。
過去の成功体験に基づく「また同じ感じだ」という錯覚。
こうした心理的な要因、つまり「感情」「過去のパターン」「古い意識」が、直感には混入しやすいのです。
つまり「直感だ」と思っていたものが、実はエゴの欲求や思い込みの反射であった……というケースが多くあります。
さらに、直感は「外からの影響」にも敏感です。
周囲の期待や圧力、不安や恐怖、他者の言葉による先入観。
これらが直感に混ざると、判断の精度は急激に落ちます。これもエゴの介入が原因です。
「なんとなく感じた」という判断の中に、実は自分以外の声が混んでいる。
経営者がこうした不純な直感に頼り続けると、判断の軸が曲がっていきます。
これが、直感だけでは危険な理由なのです。
直観を開発すると、経営がどう変わるか
では、直観を開発すると、経営者としてどのような変化が起きるのでしょうか?
まず、判断の速度と正確度が同時に上がります。
直観は直感と同様に素早いですが、その精度が格段に高いのです。
なぜなら、直観は自己の深い部分、つまり魂や精神の本質から生まれるからです。
エゴの影響も、外からの声も、そこには混入しません。
また、もし直感力のみだと、改めてその答えの真偽を問い直すことが困難です。
なぜなら、直感を捉えなおそうとすればするほどエゴが混入して最善から遠ざかるからです。
しかし直観力があれば、深く意識に潜ることで「なるほど、やっぱりこちらが良いんだな」と「理解」ができるようなります。
つまり「ただ感じる」のではなく「深く知る」ようになるのです。
直観力が開発されると、明確に判断の質が変わります。
直観によってどれほど論理的に飛躍した解が出ても、その解に対する確信には揺らぎがありません。
そしてその解が「頭では考え付かなかった最高のルート」へと導いてくれるので、ビジネスの流れが大きく変わります。
また余談ですが、直観は真理に基づく行動原理だからこそ、天も味方します。
正直、これが最大の利点であると言っても過言ではありません。
直観を使いながら進める経営には、多くの見えない助けが入り、生かされ、長期的に大きな実りがもたらされるのです。
AI時代にこそ問われる直観力
直観力というのは、論理的に飛躍し、想定外の幸運を味方につける能力でもあります。
論理的でも導き出せず、でたらめでも導き出せない、データ学習やアルゴリズムの外側にある世界。
AIとは別の次元での「答えの出し方」です。
当たり障りのない決定や運営はロジカルなAIに任せ、重要な決断は経営者自身の直観を最重視する。
この使い分けができるかどうか。
Aそれほどに、自身の在り方、器、視座を信頼できるかどうか。
AI時代にこそ、よりシビアに問われるのが、こうした直観力をはじめとした、経営者としての器・人間力なのです。





















