こんにちは、大場麻以です。
突然ですが、先日、はじめて滝行してきました。
特に修行の意味合いではなく、「人生、一度くらいは滝に打たれておきたい」と思ったのが理由です。
滝行を経て得た気づきと変化について書こうと思います。
はじめての滝行
片道、登山道を30分歩き、滝が流れる場所へ。
山小屋で白装束に着替え、案内してくださった宿坊のご主人に指導してもらいながら、神道の作法で滝の中へ。
動画などで滝に打たれながら絶叫している人を見ていたので、どれほど強烈なのかと身構えていましたが、意外と大丈夫でした。
滝の高低差や季節的なものもあると思いますが、滝に入り直すたびにどんどん心地よくなる、不思議な感覚でした。

滝行からの変化
滝行を経て、いくつかの変化が起こりました。
自我の消失
はじめて滝に打たれた後、帰りの山道を歩きながら、ふと自分が何者なのか分からなくなっていることに気がつきました。
何を望んで、何を目指して、何をやっているのか。
そうした知らず知らずのうちに纏っていた鎧のようなエゴが、滝に流されてすっかり溶けてしまい、ただ在るという概念だけが残ったのです。
自分は自然そのものであるという感覚。
自分は水であり、虫であり、樹であり、石である、という自分と自然界の境界がなくなるような、とても心地の良い感覚でした。
その後は地面を横切る虫を踏みそうになっても、虫が顔に何度も衝突しても、気にならない、過度に尊ぶこともなければ、忌避して排除しようとすることもない、成り行き任せの自然体に。
実は魚の一本焼きが視覚的に苦手だったのですが、夕食に出てきた川魚の塩焼きも、いつも感じる抵抗がすっかりなくなりました。

寝るくらいしかやることがない
あとはそんな感覚に陥ると、もうスマホで仕事する気にもならず、SNSやテレビを見る気も起きず、ただただ「寝るくらいししかやることがない」ととなり、結局22:00には布団に入りました。
いつもはあんなに時間を忘れて作業して、遊びに仕事に「どれだけ時間があっても足りない!」となっていたのに……
私はいったい、今まで何に対してそんなに忙しくしていたのか?
と、これもまたよくわからなくなりました。
恐らく、すごく「どうでもいいこと」「敢えてやらなくてもいいこと」に一生懸命になりすぎてるんでしょうね。
食事ひとつ、仕事ひとつ、趣味ひとつ、些細なことにこだわりすぎていて、あるいはどうでもいいことに執着しすぎて、それによって「時間がない」と錯覚しているのでしょう。
ただ在るだけの姿
今回、滝行の案内をしてくださった宿坊のご主人は、もともと神職だったそうです。
しかし余計なことを語らず、山道を歩く素人の私たちを神経を尖らせて心配するでもなく、介在価値のようなものを敢えて示そうとすることもなく、「ただ在る」という方でした。
坂を登るときは前傾になりペースを落とし、歩きやすい道はスタスタと歩き、無理をしない、力まない、けれど誰よりも確固たる力で歩き、存在している。
自然体で天と地を繋ぐように在る方だと、歩いていく後ろ姿を見ながら思いました。
しかも宿坊は滝行したいという方が多く泊まられるようで、私が体験したときは私を含めて5名でしたが、「今日は人数が少ないから」と仰っていました。
つまり宿坊も繁盛していらっしゃる。
もちろん片道30分の滝行を、多いときで朝と午後、1日2往復なさるわけですから、どう考えてもラクではない仕事です。
しかし滝に打たれたあと「気持ちいいでしょう」と仰られたときの笑顔を見て、心からやりがいのあることを仕事にされているだろうなと感じました。
そしてそれがきっと宿坊の繁盛……つまり生きていく上での物質的な豊かさにも、きっと繋がっているのでしょう。
宿泊客たちの魂や霊性を磨くことに繋がる、素晴らしい体験をもたらす仕事。
そんなお仕事をされている方のもとに、豊かさが循環しないわけがない。
滝行は非日常だけれど
今回の滝行では、これまで体験したことのない気づきを得ることができました。
しかし私にとって滝行は非日常です。
そこで感じた気づきや変化は、意識して行動を変えなければ、日常に押し流されて当たり前に風化してしまうものです。
どんな修行体験をしても、根本からの変化にはなり得ない理由がこれですね。
現実は常に一瞬ごとに創られ続け、細胞も生まれ変わり続ける。
非日常的な体験は、ただの感動で終わるなら一瞬の刺激にすぎない。
本質との一致を極め、意識の次元を高めていくためのプロセスは、あくまで日常の中にあります。
逆に言えば、特別で過酷な修行をしなくても、目醒めや悟りに繋がっていけるということでもあります。
今はそれが可能となっている、良い時代です。
非日常を非日常で終わらせない、意識と行動の変容。
そして日常的な統合と内観、それに基づく行動。
これらが揃って初めて、人生に大きな変化が生まれるものです。

滝行、ちょっと気持ちよさにハマっちゃったので、たまに行こうと思います。